採用動画に効果はあるのか。社内で予算を検討する段階になると、この問いに答えを出す必要が出てきます。
ただ、この問いは「動画を作れば応募が増えるのか」という形では答えが出ません。効果は、何を狙って作り、どこで測るかを決めた時点で、おおよその輪郭が決まるためです。
本記事では、採用動画で実際に変わることを整理したうえで、効果を測る指標、公開前に決めておくこと、数値が動かないときの見直し方までを順を追って見ていきます。あわせて、ロックハーツが制作した採用動画5本が、それぞれ何を狙って設計されているのかも紹介します。
採用動画で変わること
まず押さえたいのは、採用動画は求人票の代わりではないという点です。動画が担うのは、条件表に書ききれない情報を、求職者が判断に使える形で届ける役割です。
求職者が持ち帰る情報の質が変わる
求人票やコーポレートサイトから読み取れるのは、事業内容、募集職種、勤務条件といった条件面の情報が中心です。一方で求職者が入社を判断するときに気にしているのは、実際に働く人の様子、職場の空気、任される仕事の中身といった、条件表に載らない部分です。
動画は、この部分を短時間で伝えられます。現場の映像、社員が話しているときの表情、業務の流れといった要素は、文章に置き換えると長くなり、最後まで読まれずに終わります。映像であれば数十秒で届きます。
説明にかかる工数が前倒しになる
説明会や面接で毎回同じ説明を繰り返している場合、その内容を動画へ移すと、求職者は応募前に同じ情報へアクセスできます。結果として、選考の初期段階で発生していたすり合わせが前倒しになります。
前倒しになると何が変わるかというと、応募段階での認識のずれが減ります。応募数そのものよりも、選考途中の辞退や入社後のミスマッチに効いてくる部分です。
効果が出る条件
一方で、動画を作れば自動的にこうした変化が起きるわけではありません。動画が求職者の目に触れる場所に置かれていること、見た人が応募へ進める導線があること、そして伝えている内容が募集職種と合っていることが前提になります。
この3つが揃っていないとき、動画の出来に関係なく効果は確認できません。効果測定の話に入る前に、この前提を先に押さえておく必要があります。
効果を示す数値の扱い方
採用動画の効果を調べると、応募が何パーセント増えたといった数値が数多く出てきます。ただ、出典が示されていない数値は社内資料に使えません。上長や経営層から「その数字はどの調査によるものか」と問われた時点で、提案の根拠が崩れます。
採用・リクルート動画制作ページで紹介している数値
ロックハーツの採用・リクルート動画制作ページでは、採用動画の位置づけとして次の説明を掲載しています。
- 採用プロセスには平均41日かかる
- 採用動画の活用でプロセスを約25パーセント短縮する
- 動画を使用した求人広告は採用率が34パーセント高い
これらはサービスページ上の説明として掲載している数値です。あらゆる企業に当てはまる一般統計として扱うのではなく、採用動画が「採用にかかる期間」と「採用率」の2点に働きかけるものだという整理として読むほうが、実務には合います。
借りてきた数値より、自社で測れる数値
社内提案で効くのは、外部の数値よりも自社で測れる数値です。現状の採用プロセスにかかっている日数、説明会から応募への転換、選考途中の辞退率。こうした現状値を公開前に記録しておけば、公開後に比較する材料になります。
外部の数値は「なぜこの施策を検討するのか」という入口として使い、判断の根拠は自社データで組み立てる。この順番にしておくと、提案が出典の信頼性に左右されなくなります。
効果は「何を狙って作ったか」で決まる
ここからは、実際に制作した採用動画5本を例に、狙いと設計の対応関係を見ていきます。5本は尺も構成も異なりますが、それは表現の好みではなく、狙いが違うためです。
1分に収める設計
ダイレックス株式会社様のWEB用採用動画は1分00秒です。この1分の中に、企業としての強み、価値観、社員が楽しみながら働く姿勢を収める構成にしています。
短い尺は、情報を削る作業ではなく、何を残すかを決める作業です。WEB上で最初に目に触れる位置へ置く動画では、最後まで見てもらえる長さに収めること自体が設計条件になります。
現場そのものを見せる設計
福岡赤十字病院様の就職説明会向け動画は1分37秒です。日々の業務と研修風景を中心に撮影し、医療現場の真心と専門性、そして使命感とチームワーク、キャリア形成の可能性を医療職志望者へ伝える構成にしています。
西日本技術開発様の採用動画は1分48秒で、ドローン撮影を取り入れ、企業文化とチームワーク、日常業務の様子を伝えています。現場のスケールが仕事の手応えに直結する業種では、それが伝わる撮影手法を選ぶ判断が必要になります。
複数の職種を横断して見せる設計
グランドハイアット福岡様の採用プロモーション映像は3分03秒です。「笑顔になるホテル」をコンセプトに、キッチン、キーパー、フロント、事務、清掃と複数の部署を登場させ、大切にしている価値観を表現しました。
募集職種が複数にまたがる場合、1職種だけを映すと他職種の応募者には届きません。尺が伸びるのは、見せるべき対象が増えるからです。
社員の声に時間を使う設計
日本ライフサポート株式会社様の採用動画は5分20秒あります。社員の生の声を通じて企業の内側を見せることに重点を置いた構成です。
5分を超える動画は、たまたま流れてきた人には見られません。ある程度応募を検討している人が、判断材料として腰を据えて見る前提の設計になります。置き場所も、流し見される面ではなく採用サイトや説明会の中が中心になります。
このように、狙いが決まれば尺も構成も置き場所も決まります。尺そのものの考え方を詳しく整理したい場合は、こちらもあわせてご確認ください。
見せるべき現場は業種によっても変わります。飲食店の採用動画については飲食店の採用動画を扱った記事で個別に解説しています。動画を構成する要素そのものの整理は、次の記事で扱っています。
効果を測れる状態にしてから公開する
公開してから効果の測り方を考え始めると、比較対象になる公開前の数値が残っていません。測定は、公開後の作業ではなく公開前の設計に含まれます。
何を成果とするかを1つに決める
応募数、応募者の質、辞退率の低下、内定承諾率。どれも成果になり得ますが、同時にすべてを追うと判断がつかなくなります。今回の採用課題がどこにあるのかを踏まえて、主に見る指標を1つ決め、残りは参考指標として扱います。
たとえば応募数は足りているが辞退が多い状況であれば、応募数が増えても課題は解決していません。この場合の主指標は辞退率になります。
どこで測るかを決める
動画をどこに置くか、視聴した人がどこから応募するかを、公開前に決めます。採用サイトのトップに置くのか、求人媒体の企業ページに載せるのか、説明会で流すのかによって、取得できる数値が変わります。
動画の直下にエントリーページへの導線がなければ、視聴と応募をつなぐデータは取れません。応募フォームに応募のきっかけを尋ねる項目を用意しておくと、経路が追いきれない分を補えます。
いつ振り返るかを決める
採用は季節性の強い活動です。公開直後の数日で判断すると、たまたまの変動を効果と読み違えます。次の選考サイクルが一巡した時点、あるいは前年の同時期と比較できる時点を、あらかじめ振り返りのタイミングとして置いておきます。
採用動画の効果測定で見る指標
指標には、露出に近いものから成果に近いものまで段階があります。段階を分けずに眺めると、数値は動いているのに何が良くなったのかを説明できない状態になります。
露出の指標
視聴回数は、動画がどれだけ表示されたかを示す指標です。露出の量は分かりますが、これ自体は成果ではありません。広告を出稿すれば増えますし、増えたからといって応募につながっているとは限りません。
視聴回数は、他の指標を読むための分母として扱います。
視聴の中身を示す指標
視聴維持率と離脱位置は、動画のどこまで見られたのかを示します。この2つは、動画そのものを改善するための情報源です。
離脱がどこで起きているかは、構成のどの部分に課題があるかを直接示します。数値の高低そのものよりも、前回の動画や別バージョンと比べてどう動いたかを見るほうが、判断材料になります。業種や職種によって水準が変わるため、他社の数値と単純に比べる意味は薄くなります。
応募・選考に近い指標
動画視聴からエントリーページへの遷移、応募経路のアンケート回答、選考辞退率、内定承諾率。これらは、動画の貢献を判断しやすい指標です。
一方で、応募や採用の意思決定に近い指標ほど、動画以外の要因も混ざります。求人媒体の掲載条件を変えた、募集要項を書き換えたといった同時期の変更を記録しておくと、後から切り分けられます。
効果が出ていないときに見直す場所
数値が動かないとき、動画全体を作り直す前に、どこで止まっているのかを特定します。離脱位置と応募データの組み合わせで、見直すべき場所はおおむね絞り込めます。
冒頭で離脱している
再生は始まっているのに早い段階で離れているなら、導入の設計を見直します。誰に向けた動画なのかが最初に示されていない、社名や理念の説明が長い、といったケースが該当します。
見る側は、自分に関係のある内容かどうかを冒頭で判断します。ここで判断材料を出せていないと、以降の内容は届きません。
中盤で落ちている
冒頭は見られているのに中盤で落ちるなら、構成の順序を見直します。伝えたい要素を並べる順番が、視聴者が知りたい順番とずれている状態です。
企業側が伝えたい順序(沿革、事業内容、制度、社員の声)と、求職者が知りたい順序(誰と働くのか、何をするのか、続けられるのか)は、しばしば食い違います。
最後まで見られているのに応募が来ない
視聴が完走されているのに応募が動かない場合は、動画の出来ではなく、内容と募集職種のずれ、あるいは導線を疑います。
動画で描いている働き方と、実際の募集要項が食い違っていないか。動画を見た直後に応募できる場所があるか。この2点は、動画を作り直さずに手を入れられる部分です。
社内で採用動画の予算を通すには
提案が通りにくいのは、効果が不確かだからというより、成否をどう判断するのかが示されていないためであることが多くあります。
説明の組み立てとしては、現状の採用課題を数値で示し、その課題に対して動画が働きかける仕組みを説明し、公開後に何をいつ確認するのかまでを一続きにします。外部の統計に依存せず、自社の現状値を起点にすると、公開後の振り返りも同じ指標のまま行えます。
費用は、目的と撮影規模によって変わります。相場感の整理は動画制作の費用相場を解説した記事で扱っています。
ロックハーツは、企画から撮影、編集、公開後の運用まで自社スタッフ中心の体制で対応しており、累計20,000本以上の動画制作実績があります。対応範囲は採用・リクルート動画制作のページで確認できます。
まとめ
採用動画の効果は、動画の出来だけで決まるものではありません。何を狙って作るかという設計と、どこで測るかという準備の両方が揃ってはじめて、効果があったかどうかを説明できる状態になります。
制作実績5本を見ても、1分に収めたものから5分を超えるものまで幅がありました。違いを生んでいるのは表現の好みではなく、誰に何を伝えるかという狙いです。
効果測定では、視聴回数のような露出の指標と、遷移や辞退率のような成果に近い指標を分けて読みます。そして数値が動かないときは、離脱位置を手がかりに、導入なのか構成なのか導線なのかを切り分けます。
自社の採用課題に対してどの設計が合うのかを個別に整理したい場合は、無料相談からお問い合わせください。


