採用動画の制作を進めるとき、企画の中身よりも先に迷いやすいのが「何分の動画にするか」という点です。
結論から書くと、目安は1分から3分程度です。ROCKHEARTSが制作・公開している採用関連動画5本の実尺は1分00秒から5分20秒に分布しており、中央値は1分48秒でした。
尺は、長いほど丁寧に伝わるものでも、短いほど今の視聴環境に合うものでもありません。誰に、どこで、何を判断してもらうために見せるのか。この3点が決まると、適切な尺の範囲はかなり絞り込めます。
この記事では、短い動画と長い動画それぞれの利点と限界を整理したうえで、実際に制作した動画の実尺をもとに、自社の条件で尺を決める手順を順を追って見ていきます。
採用動画の重要性と目的の再確認
採用動画は、文章や写真では伝わりにくい職場の空気や、そこで働く人の表情を短時間でまとめて伝えられる手段です。
ROCKHEARTSの採用・リクルート動画制作ページでは、採用プロセスに平均41日かかるなかで動画の活用によりプロセスを約25パーセント短縮できること、動画を使用した求人広告は採用率が34パーセント高いことを紹介しています。効果やKPIの検証方法は別の記事で詳しく扱いますが、尺を考える段階でも「その動画に何を担わせるのか」を先に決めておく必要があります。
尺を決める前に、動画の役割を一つに絞る
尺が決まらない原因の多くは、1本の動画に複数の役割を詰め込もうとしているところにあります。
事業内容の説明、社員の人柄、選考フローの案内、福利厚生や研修制度の紹介。これらをすべて1本に入れれば、当然ながら尺は伸びていきます。
まず押さえたいのは、その動画を見た人に次に何をしてほしいのかという一点です。エントリーしてほしいのか、説明会に足を運んでほしいのか、選考が進んでいる候補者に入社後のイメージを持ってほしいのか。役割を一つに絞れると、削れる要素と残すべき要素の判断がつきます。
逆に言えば、役割が曖昧なまま撮影に入ると、編集段階で「どれも捨てられない」という状態になり、尺だけが伸びていきます。尺の問題は編集ではなく、企画段階で決まる部分が大きいと考えてください。
目安は1分〜3分。ただし条件によって変わる
一般的な目安として示される1分から3分という範囲は、実務でも扱いやすい水準です。
ただしこの範囲は、あくまで採用サイトや求人媒体に置く1本目の採用動画を想定した場合の話です。社員インタビューを主役に据える、複数の部署を登場させるといった条件が加わると、3分を超える設計のほうが現実的になります。
自社がどちらに近いのかは、後述する実際の制作物の尺と照らし合わせると判断しやすくなります。数字の目安を先に決めるのではなく、入れる要素を決めた結果として尺が定まる、という順序です。
採用動画に入れる要素の組み立て方については、次の記事でも整理しています。
制作の対応範囲や進め方を先に確認しておきたい場合は、採用・リクルート動画制作のサービスページもあわせてご確認ください。
短い採用動画のメリットとデメリット
短い採用動画は、限られた時間のなかで応募者の関心を引き寄せ、必要な情報を手早く届けられる点に価値があります。
一方で、短くすれば良いという単純な話でもありません。短尺には短尺なりの限界があり、そこを理解せずに尺だけ詰めると、見た人の記憶に何も残らない動画になります。
メリット:最後まで見てもらえる確率が上がる
短い動画の最大の利点は、視聴が途中で止まりにくいことです。
採用サイトを開いた応募者は、複数の企業を並行して比較している状態にあります。そのなかで再生ボタンを押してもらい、なおかつ最後まで見てもらうには、1分前後という長さが有利に働きます。
ROCKHEARTSが制作したダイレックス株式会社様のWEB用採用動画は、実尺1分00秒です。この1本では、企業としての強みや価値観、社員が楽しみながら働いている姿勢を、1分という枠のなかに収めることを意図しました。要素を絞り込めば、1分でも伝えられる情報は決して少なくありません。
短尺はSNSや広告配信との相性も良く、同じ素材から派生版を作りやすいという運用上の利点もあります。
デメリット:判断材料としては足りなくなる
短い動画の弱点は、応募を決める判断材料としては情報が不足しやすい点です。
具体的な業務の流れ、配属後のキャリアの見通し、チームの人間関係といった要素は、短い尺では触れる程度で終わります。その結果、興味は持ったものの応募には至らない、という取りこぼしが起きます。
また、短尺は編集のテンポが速くなるため、企業の落ち着いた雰囲気や、丁寧な社風といった質感が伝わりにくくなる面もあります。
短い動画を軸にする場合は、動画で興味を引き、詳しい情報は採用サイトの本文や説明会で補うという役割分担を、あらかじめ設計しておく必要があります。
長い採用動画のメリットとデメリット
長めの採用動画は、企業の内側を時間をかけて見せられる点に強みがあります。ここでの「長い」は、おおむね3分を超える尺を指します。
メリット:社員の生の声まで届けられる
長い動画では、社員インタビューや実際の業務風景をまとまった量で収録できます。
ROCKHEARTSが制作した日本ライフサポート株式会社様の採用動画は、実尺5分20秒です。この動画では、社員の生の声を通じて企業の内側を見せることに重点を置きました。一人ひとりの語りを十分な長さで残すには、この程度の尺が必要になります。
編集で切り詰めた短いコメントの連続と、ある程度の長さを保った語りとでは、受け取る側の納得感が変わります。人柄や価値観を判断材料にしてほしい採用では、長尺のほうが目的に合います。
選考が進んだ候補者に見てもらう、内定者フォローで使う、といった用途でも長尺は機能します。母集団形成の入口ではなく、意思決定の後押しに使うイメージです。
デメリット:どこで離脱したかが分からないまま終わる
長い動画の課題は、最後まで見てもらえる保証がないことです。
初めて企業を知った人に5分の動画を見せても、多くは途中で離脱します。しかも公開しただけでは、どの場面で離脱が起きたのかが分かりません。改善の手がかりが得られないまま、なんとなく効果が薄い、という評価だけが残ります。
長尺を採用する場合は、視聴維持率や離脱位置を確認できる状態で公開することが前提になります。確認方法については後半で扱います。
もう一点、尺が伸びるほど撮影と編集の工程は増えます。出演者や撮影場所が増えれば、その分だけ準備も必要になります。尺の判断は、制作の負荷とセットで考えるべき項目です。
用途・掲載先別に見る採用動画の実尺
ここからは、実際に制作した採用関連動画の尺を用途別に見ていきます。業界ごとの平均といった一般論ではなく、どういう要素を入れると何分になるのか、という具体的な対応関係を示します。
ROCKHEARTSが制作した採用動画5本の実尺
制作実績ページで公開している採用関連動画5本の実尺は、次のとおりです。
- ダイレックス株式会社様|WEB用採用動画:1分00秒(実績ページ)
- 福岡赤十字病院様|就職説明会:1分37秒(実績ページ)
- 西日本技術開発様|採用動画:1分48秒(実績ページ)
- グランドハイアット福岡様|採用プロモーション映像:3分03秒(実績ページ)
- 日本ライフサポート株式会社様|採用動画:5分20秒(実績ページ)
5本の幅は1分00秒から5分20秒、中央値は1分48秒です。3本が2分未満に収まっており、いわゆる「採用動画は3分程度」という感覚よりも、実際の制作物は短い側に寄っていることが分かります。
用途を絞り込むほど1分台に収まる
最も短いダイレックス株式会社様の1分00秒は、WEB掲載を用途として明確に絞った1本です。
見る人がサイト上で流し見する前提に立てば、盛り込む要素は自然と限られます。強みと価値観、そして社員の働く姿勢という軸を決めたことで、1分という枠に収まりました。
福岡赤十字病院様の1分37秒は、就職説明会で使用する動画です。西日本技術開発様の1分48秒は、ドローン撮影を取り入れながら、企業文化とチームワーク、日常業務の様子を伝えた1本です。空撮のような手間のかかる素材を入れても、伝える軸が定まっていれば2分未満に収まります。
判断基準としては、伝える軸が1つか2つに絞れているなら、1分台で設計できると考えて差し支えありません。
登場する部署が増えると3分前後になる
グランドハイアット福岡様の採用プロモーション映像は3分03秒です。
この動画では、キッチン、フロント、事務、清掃など複数の部署の従業員に登場してもらい、そこで大切にしている価値観を伝えました。部署ごとに人と現場を映せば、1部署あたりの秒数を切り詰めても全体は積み上がっていきます。
職種の幅が広い企業、複数拠点を持つ企業では、この3分前後という水準が一つの現実的な着地点になります。逆に言えば、1分台に抑えたい場合は登場する部署を絞る判断が必要です。
社員インタビューを主役にすると5分前後を見込む
最も長い日本ライフサポート株式会社様の5分20秒は、社員インタビューを中核に据えた構成です。
インタビューは、質問と回答のやり取りを丁寧に残すほど尺が伸びます。1人あたり1分前後の語りを複数人分収録すれば、それだけで数分に達します。ここを削れば尺は縮みますが、同時に「生の声で伝える」という当初の目的も薄まります。
社員インタビューを厚くするほど尺は伸びる、という関係は避けられません。したがって尺の議論は、インタビューを何人分、どの深さまで入れるのかという議論と同じものだと考えたほうが実務的です。
効果的な採用動画の時間設定のポイント
ここまでの内容を踏まえて、尺を決めるときに押さえておきたい観点を整理します。
目的とメッセージに合わせた長さの選定
尺は、伝えたいメッセージの量から逆算して決めます。
企業の雰囲気を知ってもらうことが目的なら1分台で足ります。職務内容やキャリアパスまで理解してもらいたいなら、3分前後は見込む必要があります。社員一人ひとりの考え方まで届けたいなら5分前後です。
この対応関係を社内で共有しておくと、尺の議論が好みの問題ではなく、目的の議論に変わります。社内で承認を取る際にも説明しやすくなります。
冒頭10〜30秒で見続ける理由をつくる
尺の長短にかかわらず、離脱が最も起きやすいのは冒頭です。
会社名とロゴだけが流れる時間が長いと、その間に離脱が発生します。冒頭の10秒から30秒で、この動画を見ると何が分かるのかを提示できていれば、その後の視聴は続きやすくなります。
長尺を選ぶ場合ほど、この冒頭設計の重要度は上がります。5分の動画を最後まで見てもらうには、最初の30秒で見る理由を渡す必要があります。
掲載先ごとに尺を分けて考える
同じ内容でも、掲載先によって適した尺は変わります。ただし、掲載先ごとに何秒が正解と言い切れる共通の基準があるわけではありません。決め方は2段階で考えます。
1段階目は、入れる要素から尺の範囲を仮置きすることです。前章で見たとおり、伝える軸を1つか2つに絞れば1分台、複数の部署を登場させれば3分前後、社員インタビューを主役にすれば5分前後が実際の着地点になります。
2段階目は、掲載先の制約を当てはめて仮置きした尺を調整することです。求人媒体やSNSの投稿枠には、動画の長さに上限が定められている場合があります。掲載規定を先に確認しておけば、編集が終わってから尺を詰め直すという手戻りを防げます。会社説明会で上映する場合は、当日のプログラムで動画に割ける時間が制約になります。
掲載先を複数想定しているなら、1本を使い回すのではなく、尺違いを用意する前提で企画を組むほうが結果的に無駄がありません。
ターゲットに合わせた動画長さの調整方法
尺を最終決定する前に、応募者層と社内の条件を踏まえた調整を行います。
応募者層の視聴環境から逆算する
同じ動画でも、見られる環境によって適した尺は変わります。
新卒採用でスマートフォン中心の閲覧が想定されるなら、移動中や休憩中に見られる短めの尺が現実的です。中途採用で、業務内容を具体的に確認したい層が対象なら、腰を据えて見てもらえる前提で長めの尺も成立します。
自社の応募者がどの経路から流入しているのかは、採用サイトのアクセス解析や求人媒体の管理画面である程度把握できます。想像で決めず、手元にあるデータから逆算してください。
尺が費用に影響する要因を先に把握する
尺は制作費用に影響しますが、単純に「分数×単価」で決まるわけではありません。
費用が変わる主な要因は、撮影日数、出演者数、ロケ地の数、インタビューの本数、編集する尺の長さ、そして字幕や多言語対応の有無です。5分の動画でも撮影が1日で完結する構成なら負荷は限定的ですし、1分の動画でも複数拠点を回れば工程は増えます。
社内で予算を検討する際は、尺そのものよりも、これらの要因をいくつ抱える企画なのかを先に整理しておくと、認識のずれが起きにくくなります。
公開後に確認する指標を決めておく
尺の判断が妥当だったかどうかは、公開後のデータで検証します。
確認したい指標は3つです。1つ目は視聴維持率で、公開した動画が平均してどこまで見られているかを示します。2つ目は離脱位置で、どの場面で視聴が止まっているかが分かります。3つ目は応募経路のアンケートで、応募のきっかけとして動画が挙がっているかを直接確認できます。
視聴維持率が中盤で大きく落ちているなら、その位置にある内容を削るか、順番を入れ替える判断ができます。冒頭で落ちているなら、尺ではなく導入の設計に原因があります。指標を先に決めておくことで、次の改修が感覚ではなく根拠に基づいたものになります。
1本に収まらないときの分け方
伝えたい要素が多く、1本にまとめると尺が伸びすぎる。この状況は珍しくありません。その場合は、無理に1本へ詰め込まず、分けて作る前提で設計します。
本編とダイジェストの二段構えにする
最も取り入れやすいのは、長尺の本編と、そこから抜き出した短尺版を用意する方法です。
短尺版を採用サイトのトップやSNSに置いて興味を持ってもらい、より知りたい人に本編を見てもらう。この導線であれば、短尺の弱点である情報量の不足を本編が補い、長尺の弱点である離脱の多さを短尺が補えます。
部署別・職種別に分けて必要な人にだけ見せる
職種によって仕事の内容が大きく異なる企業では、部署別に短い動画を分けて作る方法が有効です。
営業志望の応募者に製造現場の詳細を見せても関心は続きません。1本あたりの尺を1分台に保ちながら、応募者が自分に関係のある動画だけを選べる状態をつくると、視聴の質が上がります。
撮影を1回にまとめる前提で設計する
複数本に分けると聞くと工程が増える印象がありますが、企画段階で分割を決めておけば、撮影自体は1回にまとめられます。
同じ日に必要な素材をまとめて収録し、編集で本数を分ける。この進め方であれば、現場の負担を大きく増やさずに複数の尺を用意できます。分割を検討するのは編集段階ではなく、企画段階だと覚えておいてください。
まとめ
採用動画の長さは、1分から3分程度が実務上の目安です。ROCKHEARTSが制作した採用関連動画5本の実尺も、1分00秒から5分20秒の範囲に収まり、中央値は1分48秒でした。
尺を決める手順は3つに整理できます。1つ目は、その動画に担わせる役割を一つに絞ること。2つ目は、掲載先と応募者層から適した尺の範囲を絞り込むこと。3つ目は、公開後に視聴維持率と離脱位置、応募経路のアンケートで検証し、次の1本に反映することです。
用途を絞れば1分台、複数部署を登場させれば3分前後、社員インタビューを主役にすれば5分前後。この対応関係を基準に、自社の条件に合わせて判断してください。
制作の進め方や対応範囲を具体的に確認したい場合は、採用・リクルート動画制作のサービスページをご覧ください。累計20,000本以上の動画制作実績をもとに、企画から撮影、編集、公開後の運用までを自社スタッフ中心の体制で支援しています。
尺の設計や構成の整理から相談したい段階でも問題ありません。自社に合う進め方を個別に整理したい場合は、無料相談・お見積りからお問い合わせください。


